東京電力福島第一原子力発電所1号機で、2011年の事故発生当時、運転員の理解不足によってうまく動かすことができず、対応の遅れにつながったとされる、非常用の冷却装置の一部を撤去する作業が始まりました。
撤去作業が始まったのは、福島第一原発1号機に設置されている「アイソレーションコンデンサー」、通称「イソコン」と呼ばれる非常用の冷却装置の排気口部分の配管です。
廃炉作業にともなって建屋全体を覆う大型カバーを設置する計画で、外壁の外に突き出た配管が障害となることから、28日朝からクレーンでつり下げた切断装置を遠隔で操作して撤去を進めています。
「イソコン」は、原子炉の圧力が高まると自動で起動し、電源が失われても原子炉を冷やすことができる重要な設備で、正常に動くと轟音とともに排気口から大量の水蒸気が出ます。
しかし、事故発生当時、発電所員たちは「イソコン」を動かした経験がなく、排気口からもやもやとした蒸気が出ているのを見て動いていると判断していましたが、実際には動いておらず、メルトダウンに至った要因のひとつとされています。
これについて政府の事故調査・検証委員会は、設備への理解不足が対応の遅れにつながったと指摘しています。
撤去作業は29日まで行われる予定で、東京電力は廃炉にともない撤去した配管などは発電所の別な場所で保管し、事故の検証などに役立てられるか検討するとしています。【NHK】