東日本大震災と東京電力福島第1原発事故で閉校した福島県浪江町立小中学校9校の閉校式が25日、町地域スポーツセンターで行われた。
浪江、幾世橋、請戸、大堀、苅野、津島の6小学校と浪江、浪江東、津島の3中学校。式では各校の代表者が登壇し、笠井淳一教育長に校旗を返納した。
吉田栄光町長はあいさつで「地域を一つにするコミュニティーでありシンボルでもあった学校がなくなり、心にぽっかり穴が開いてしまった思いだ」と心境を吐露した。
浪江小中学校の卒業生でピアニストの添田哲平さんが各校歌を伴奏すると、一緒に口ずさみ、涙を拭う参加者の姿も見られた。
また、各校の思い出の写真などを展示する「閉校のつどい」も併催され、卒業生らが母校の歴史に思いを寄せた。
津島中を卒業した今野寿美雄さん(58)は原発事故の際、写真などを持ち出さずに避難したため、手元には残っていないという。会場で自身と息子の卒業アルバムを見つけ、級友の顔や寄せ書きを見つけると「当時のことを鮮明に思い出した。感慨深い」と話し、しばらく見入っていた。【毎日新聞】