福島第一原発の事故に伴う損害賠償の額の目安となる、「中間指針」の見直しが必要かどうか検討している国の審査会が開かれ、住民が故郷を喪失したことをめぐる慰謝料について、「指針の策定当時は損害の実態が十分に把握できていなかった」などとする中間報告を行いました。
原発事故で各地に避難した人たちが、国や東京電力に慰謝料などを求めた集団訴訟では、これまでに7件で「中間指針」を上回る賠償額を認める判決が確定していて、賠償指針を策定する国の「原子力損害賠償紛争審査会」は指針の見直しが必要かどうか検討しています。
審査会は、有識者などの専門委員にそれぞれの判決について調査や分析を依頼していて、26日の会合では、住民へのヒアリングなどを踏まえた中間報告を行いました。
このなかで、「ふるさとの喪失や変容による慰謝料」について、中間指針では帰還困難区域に住んでいた人については考慮されているものの、それ以外の地域については指針の策定当時に損害の実態が把握されておらず、十分に反映されていないことなどが報告されました。
専門委員たちはさらに分析を進めて最終報告としてまとめ、中間指針の見直しの是非を決めることにしています。
原発事故に伴う賠償指針を巡っては、平成25年12月を最後に大幅な見直しは行われておらず、審査会の判断が注目されています。
【NHK】