関西電力は28日、大阪市内で定時株主総会を開き、脱原発などを求めた株主提案26件全てを否決し終了した。株主の大阪市と京都市、神戸市は共同で水素の活用などによる脱原発を提案。これに対し、森本孝社長はゼロカーボン社会の実現に向けて原子力発電の活用を引き続き推進する方針を示した。
同社は令和32(2050)年までに温室効果ガス排出量実質ゼロに向けた長期計画を策定しており、森本氏は「再生可能エネルギーの主力電源化を図るとともに、原発の最大限活用に取り組む」と述べた。
総会の質疑で、京都市の門川大作市長が、ロシアによるウクライナ侵攻で原発が軍事行動の対象となったとした上で、「世界的なエネルギー危機への対応として原発の再稼働が必要でも、住民らの安全性の確保を大前提に必要な範囲にとどめるべきだ」と主張した。「原発への依存から脱却し、再生可能エネルギーを主力として、持続可能なゼロカーボン社会の実現に貢献することを求める」と訴えた。
これに対し、森本社長は電力の安全性確保が大前提とした上で、「全ての電気をゼロカーボン化し、安定供給を含めたエネルギーセキュリティーの確保、経済・環境性を同時に達成する電源の最適な組み合わせの実現が必要だ」と強調。「再生可能エネルギーの主力化を図り、確立した脱炭素技術である原発の最大限活用や、火力発電のゼロカーボン化などに取り組む」とした。
総会の開催時間は2時間38分。取締役の選任を含む会社提案4件はいずれも可決した。森本孝社長は取締役を退任し、総会後の取締役会で森望副社長の社長昇格が正式に決定。関電は全ての株主提案に反対を表明していた。【産経新聞】