福島第一原子力発電所にたまり続けるトリチウムなどの放射性物質を含む処理水を海に流す東京電力の計画について、原子力規制委員会は、15日の会合でおおむね了承し、早ければ来月、事実上の合格を示す審査書の案をとりまとめることになりました。
福島第一原発にたまり続ける処理水について、政府は、基準を下回る濃度に薄めたうえで来年春ごろから海に流す方針で、原子力規制委員会は、東京電力が方針に従って策定した実施計画を審査してきました。
審査は去年12月から13回にわたって行われ、新たにつくる設備の安全性や放出する時点でのトリチウムの濃度の上限、自然災害など緊急時の対応、処理水を海に放出した場合の周辺環境や人への被ばくによる影響などが議論されました。
そして、15日の審査会合で規制庁の担当者が「論点として議論が不十分なものは残っていない」と述べ、東京電力の計画はおおむね了承されました。
規制委員会は、早ければ来月、事実上の合格を示す審査書の案をとりまとめることにしています。
東京電力は、計画が規制委員会に認められ、福島県や地元自治体の同意を得たうえで、処理水を海水で薄める設備や海底トンネルなどの工事に本格的に着手し、来年4月中旬ごろの工事完了を目指しています。
ただ、漁業者を中心に風評被害を懸念する声が根強く、政府と東京電力が関係者の理解をどう得ていくかが課題となっています。
【NHK】