原子力規制委員会は24日、原発などで想定する最大の地震の揺れ基準地震動の審査に用いるガイドの改定案を了承しました。基準地震動に、地震規模を求めるための経験式について「経験式が有するばらつきも考慮されている必要がある」としていた表現が削除されました。規制委は、25日から30日間、一般からの意見募集を行います。
この表現は、原発の耐震性をめぐる羲判で、住民側の訴えを認めて規制委の許可を取り消すとした判決の根拠となった部分です。経験式は、過去の地震で観測された断層面積と規模の関係を式で表したもの。実際の地震規模は、経験式から導かれる地震規模より大きいことも小さいこともあります。
“ばらつきの考慮”の表現をめぐっては、大阪地裁が関西電力大飯原発3、4号機に対する規制委の許可を取り消すとした判決(2020年12月)が、規制委の判断を不合理とした根拠として引用しています。
判決は関電が策定した大飯原発の基準地震動に対し、ばらつきを考慮して地震の規模に何らかの上乗せをする必要性の検討を規制委がしていないと指摘しました。同裁判は国などが控訴し現在、大阪高裁で係争中です。
原子力規制庁は、削除した内容は、改定案の「審査の方針」の「解説」に移したと主張。ただ「解説」では、実績が十分でない経験式を使った場合などでは、適用条件や基となった観測データの特性などに「留意する必要がある」としていますが、“ばらつきの考慮”は明記されていません。規制委の更田豊志委員長は、会見で「より分かりやすく書き直した」と説明しています。
一方、大飯原発の基準地震動策定にも使用した経験式について同庁は、適用実績が十分あり、留意の必要性はないと、本誌の取材に回答しました。【しんぶん赤旗】