台湾は福島の主要な輸出相手、検査結果の証明書添付などが条件
福島第一原発の事故からまもなく11年、14の国と地域で、今なお、県産食品の輸入規制が続いている。
さらに、このうちの5つの国と地域が、輸入を停止するなか、8日、大きな動きがあった。
日本から約2千キロ離れた台湾が、福島を含む5つの県で生産された食品の輸入停止を解除すると発表した。
台湾では、福島を始め、茨城・千葉・栃木・群馬の5つの県の食品の輸入を停止していた。
この5県で作られたお菓子も輸入しないという徹底ぶりだった。
これまで反対論が強く、輸入が禁止されていたが、放射性物質の検査証明書や産地証明書を付けることが条件となる。
原発事故の前は、県内の農産物の輸出で台湾は主要の取引先でもあった。
県のまとめでは、原発事故前の平成17年・2005年からの5年間は、最大の輸出相手だった。
特に桃やリンゴといった果物が盛んに輸出されていた。
■平成17年度全体62トン台湾35トン
■平成18年度全体62トン台湾41トン
■平成19年度全体97トン台湾51トン
■平成20年度全体148トン台湾114トン
■平成21年度全体124トン台湾75トン
■平成22年度全体152トン台湾21トン
JA全農福島の宍戸副本部長は、「風評被害が海外でも薄れてきて、良い方向にいっている。アメリカも解除されて、門が広がっているのはとても良いこと」としている。
伊達市の桃農家・後藤哲男さんは、「震災前は、結構な量を出荷していたので、また台湾の人たちにも美味しい桃を食べてほしい」と感慨深く話していた。
一方で、輸出が再開するにあたり、課題も残されている。
2年前に、台北市の市場の業者を取材した際、「もし、輸入を解禁したら?」という問いに対して、台湾の人たちからは「福島県の人が台湾に来て、国民が安心して食べられるよう、説明会などが必要」、「検査の結果などを説明できる正確な情報が欲しい」などといった声が聞かれた。
安全性がわかるよう、目で見える形で証明してほしいという声だった。
福島県の担当者は「(輸出に関わる)事業者にどのぐらいの費用や負担が生まれるのか今後の動きを確認したい」と話している。
最大の輸出相手の1つだけに、事業者がスムーズに輸出できるサポートも必要になりそうだ。【福島中央テレビ】