東京電力福島第一原発事故後に福島県内外に避難した被災者らが国と東電に損害賠償を求めた集団訴訟で、上告中の千葉県内の原告らが、国の責任を認める判決を最高裁に求め、署名活動を続けている。中心となって活動する「千葉県原発訴訟の原告と家族を支援する会」のメンバーらは「避難先の千葉で亡くなった高齢の避難者もいる。故郷を失った絶望感に寄り添う判決を」と訴える。(加藤豊大)
各地で避難者らが提訴した集団訴訟を巡っては、先行して四県の訴訟で昨年九〜四月に高裁判決があった。このうち千葉、福島、愛媛の訴訟では国と東電の責任を認めた一方、群馬の訴訟では国の責任を否定。千葉県弁護団によると、早ければ来年にも四訴訟がまとめて最高裁で判断される可能性が高い。
福島県などの集計によると、千葉県内には今年十月時点で約二千人の避難者が暮らす。千葉県弁護団事務局長の滝沢信弁護士は「最高裁判決は、後に控える多くの下級審判決にも影響を与える。予見できたはずの津波への対策をしなかった国の責任を認める正当な判決を後押しするため、被災者や市民の声を裁判所に届ける必要がある」と強調。同弁護団の守川幸男弁護士も「原告だけでなく、被災者全員を救済する仕組み作りまでつなげる機運を高めたい」と語った。署名は支援する会の活動や、インターネットなどで集める。【東京新聞】