東京電力福島第1原発事故で福島県などから九州に避難した14世帯41人が東電と国に損害賠償を求めた訴訟の控訴審第1回口頭弁論が24日、福岡高裁(森冨義明裁判長)であった。避難者らが「国や東電は責任を明確に認めてほしい」と意見陳述し、国や東電はそれぞれ賠償責任はないと反論した。
佐賀県鳥栖市に住む西南学院大大学院生、金本暁(あつき)さん(24)は事故当時中学生で、故郷の福島県いわき市から家族ぐるみで避難し、友人と離れ志望の高校に行けなかった経験を法廷で述べた。「私たち避難者は被害を望んで受け入れたものではない。その責任や原因が電力会社と国にあると認められない現実に、悩み苦しむ人はいまだにいる」と訴えた。
1審の福岡地裁判決(2020年6月)は国の責任を否定し、東電に福島県からの避難者への賠償を命じたが、関東地方からの避難者の請求は棄却。避難者側と東電がそれぞれ控訴した。全国で約30件の同種訴訟が起こされ、これまでに出た高裁判決も2件は国の責任を認め、1件は認めず判断が割れている。【毎日新聞】