関西電力の運転開始から40年を超す原子力発電所の再稼働計画が具体化した。12日、美浜原子力発電所(福井県美浜町)3号機が6月下旬に運転を始めると発表。ほかの2基の40年超原発にもノウハウを生かす。関電の原発は2025年には過半が40年を超える見通しだ。
美浜3号機は再稼働しても、運転は短期間にとどまる。10月25日までに設置を義務付けられているテロ対策の特定重大事故等対処施設が間に合わず、その後は運転できないためだ。
美浜3号機の再稼働は、運転40年超で同様に10年稼働していない高浜1、2号機(同県高浜町)の運転に道筋をつける意味合いも大きい。安全確保に向け人員を増やし、少しでも稼働をさせて不測の事態に備える。福井県の杉本達治知事は12日、「約10年停止しており、関西電力は一つ一つ安全確認を行い、工程を進める必要がある」とコメントした。
関電は3月に発表した中期経営計画で、原子力と再生エネルギーを軸にした「電源のゼロカーボン化」をめざし、40年超の3基を加えた原発7基体制が不可欠としている。ただ、東日本大震災後に原発の運転は原則40年となり、延長しても60年までとなった。
関電の原発のうち25年にはさらに2基が40年に達し、7基のうち5基を占める。15年もしないうちに60年に達する原発も現れる。再生エネルギーで原発を置き換えることは非常に困難だ。脱炭素でも経営面でも今後の電源構成を問われている。【日本経済新聞】