東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)で2015年、協力会社の作業員が他人のIDカードを間違って使用し、本人確認が求められる「周辺防護区域」に立ち入っていたことが10日、分かった。東電は「当時の運用に基づいた」として、これまで公表していなかった。
東電によると、協力会社の作業員は15年8月、同じ会社で働く父親のIDカードを誤って持ち出した。周辺防護区域に入る際、警備員は不審に思ったが、本人が名乗る姓とカードの記載が一致し、顔写真とも似ていたことから通過させた。
その後、原子炉建屋などがある「防護区域」に入る際に警報が鳴り、不正使用が判明。東電は原子力規制庁と新潟県警に通報したという。
柏崎刈羽原発をめぐっては、昨年、所員が同僚のIDカードを使用し、中央制御室に不正入室していた問題が発覚。その後、テロ対策の不備が見つかり、今年4月に原子力規制委員会から核燃料の移動を禁じる是正措置命令を受けた。【時事通信】