国民投票で段階的な脱原発を決めたスイスの第2の都市ジュネーブから約70キロに近接するフランスのビュジェ原発を巡り、同市とジュネーブ州は同原発など稼働40年以上の原発の運転継続を認めた仏原子力安全局(ASN)の決定に対する不服を仏国務院に申し立てた。
フランスには従来、設計時に運転期間の目安とされていた40年以降の運転継続の是非を巡る指針がなかったが、ASNは2月、国内の全56基のうちビュジェなど旧式の32基について安全対策工事などの条件下で運転継続を認める指針を決定。ジュネーブ側は4月27日付で指針への不服を申し立てた。
スイスから仏南部の地中海へ注ぐローヌ川沿いの同原発は4基のうち2基が1979年に営業運転を開始。昨年廃炉になったフェッセンハイム原発を抜き仏原発で最古となった。ジュネーブ側が同原発の運転に反対して仏側へ法的措置を取るのは2016年、19年に続いて3度目となる。
ジュネーブ市の担当者は「指針では老朽化による事故のリスクがあまりに過小に評価されている。市民を守るための強い姿勢の表れだ」と話した。
【東京新聞】