自民党の電力安定供給推進議員連盟は23日、将来的な原発の新増設や建て替え(リプレース)を、今夏に改定される国のエネルギー基本計画に盛り込むよう求める提言を政府に提出した。菅義偉首相が温室効果ガス排出量を2030年度に13年度比46%削減させる目標を表明したことを受け、党内では原発推進派による巻き返しの動きが活発化している。
議連には原発立地地域の選出議員など148人が参加。提言はエネルギー基本計画が掲げる「原発依存度の可能な限りの低減」との表現を見直し、「原発をゼロエミ(ゼロエミッション、二酸化炭素排出を実質ゼロ)電源として最大限活用」と明記することを求めた。政府が進める再稼働に加え「安全性、経済性をより高めた発電所のリプレース・新増設」も促した。
会長の細田博之元幹事長は記者会見で、太陽光発電など再生可能エネルギーは天候に左右され、安定供給に課題があると指摘。温室効果ガス排出量の大幅削減は「原発を活用しなければ実現不可能」と主張した。
党内では、脱炭素化に向けた政府の方針を「渡りに船」(党幹部)と原発推進派が攻勢を強めている。今月上旬には最新型原子力リプレース推進議員連盟も発足し、会長の稲田朋美元防衛相が「新たな技術で安全性を高めた新型炉のリプレースを進めていくことが鍵だ」などと訴えた。
自民党内の動きを、共産党の小池晃書記局長は19日の記者会見で「福島の苦しみが続いている時、新増設に突き進んでいくやり方は許されない」と批判した。【東京新聞】