海洋放出が決まった東京電力福島第一原発の処理水について、麻生太郎財務相が「飲んでも何ということはない」などと発言したことをめぐり、台湾で原発行政を担う「原子力委員会」トップの謝暁星主任委員は21日、「もちろん飲用には適さない」と述べた。台湾メディアの取材に答えた。
謝氏はこの日、放出による台湾への影響などを説明するために立法院(国会)を訪れた際、台湾メディアに処理水は飲用に適さないとしたうえで、「日本の言い分は単に日本の言い分に過ぎない。台湾には台湾の見方がある」と述べた。飲用に適さない根拠までは言及しておらず、「放出まで2年あり、今後の動きに注目している」とも語った。
台湾での処理水の海洋放出に対する関心は高い。同委員会は13日、日本政府が処理水の海洋放出を決めたことを「遺憾」と表明。日本に対して、今後は台湾に近い公海でも海水や海洋生物の放射性物質の濃度を調べ、通知することなどを求めていた。
麻生氏は16日の閣議後会見で、「WHO(世界保健機関)の基準の7分の1まで(放射性物質トリチウムの濃度を)希釈してある。そこが一番肝心。飲めるんじゃないですか。普通の話なんじゃない」と語っていた。
日本の経済産業省は、処理水の海洋放出について、台湾や中国、韓国など世界の31の国・地域の原子力施設で行われていると主張。「世界共通の安全性に関する考え方に基づき、規制基準を大幅に下回るよう希釈して実施する」としている。【朝日新聞】