関西電力の金品受領問題で、原発に反対する市民グループの個人株主が今の社長を含む17人の経営幹部や監査役に対して、69億円余りの賠償を求めた株主代表訴訟が始まり、社長らは責任を否定し、訴えを退けるよう求めました。
関西電力は、経営幹部らが福井県高浜町の元助役から多額の金品を受け取っていた問題などをめぐり、八木誠前会長や岩根茂樹前社長ら5人の旧経営陣に19億円余りの賠償を求める訴えを起こしています。
これに対し、原発に反対する市民グループの個人株主5人は、会社が提訴しなかった森本孝社長や監査役など17人についても、問題を把握していたのに取締役会や監査役会に報告せず、会社の信用を低下させる損害を負わせたなどと主張して、69億円余りを会社に支払うよう求める株主代表訴訟を起こしています。
16日から森本社長ら17人に対する裁判が大阪地方裁判所で始まり、株主側の弁護士は「裁判でうみを出し切り会社再生の契機にしてほしい」と述べました。
これに対し、森本社長などの弁護士は「報道以前には金品の受領を詳細に知らされておらず、責任はない」と述べ、監査役の弁護士も「適切に職務を遂行していた」と主張し、いずれも訴えを退けるよう求めました。
【原告側“事実明らかに”】。
裁判のあと原告側が会見を開き、関西電力の株主で原告の滝沢厚子さんは「昔から反原発は理論的ではなく感情で言っているだけだと言われたが、裁判を通して汚いお金がないと原発は動かせないということを理論的に解明したい」と話していました。
また、代理人の井戸謙一弁護士は「金品受領問題について、可能なかぎり事実関係を明らかにし、この問題は原発という超危険施設を国策で過疎地に押しつけた構造の中で生まれた不祥事だと明らかにしたい」と話していました。【NHK】