東京電力福島第一原子力発電所の事故から10年です。事故後発足した規制機関、原子力規制委員会トップの更田委員長は、NHKのインタビューに応じ、廃炉作業が進む中、福島第一原発の事故の調査も並行して進めることが重要だとしました。
原子力規制委員会は福島の原発事故を教訓に事故の次の年に発足し、原発のトラブルへの対応や安全対策の審査などを担ってきました。
おととしからは現場の放射線量が下がってきたことを受けて、福島第一原発での事故調査を再開し、建屋内部の汚染状況や水素爆発のメカニズムなどを調べ、今週、報告書を公表しています。
原子力規制委員会の更田豊志委員長は、NHKのインタビューに応じ「今後除染が進めば、メルトダウンした1号機や2号機の最上階にも立ち入りが可能になる。福島第一原発の現地調査を続けていきたい」と述べ、事故の原因を明らかにする調査を継続する考えを明らかにしました。
そのうえで「廃炉で原発の解体が進むと、私たちが知りたいと思う現場が消えてしまう。調査や分析に必要な情報をとったうえで、廃炉していくことが重要だ」などと述べ、廃炉作業と事故調査を並行して進めることが重要だと強調しました。
また事故後、原発の再稼働に合わせて国や自治体が防災計画を見直していますが、地震や津波で道路が寸断されるなどして、想定どおりの避難ができないのではないかといった指摘が地元からあがっています。
これについて更田委員長は「内閣府などとともに、各地の地域防災計画がまとめられるたびに内容をチェックしている。規制委員会も責任の一端を担っていきたい」と述べ、防災計画のチェックに積極的に関わっていく意向を示しました。【NHK】