ドイツ政府は5日、脱原発で生じた損害を補償するため、総額約24億ユーロ(約3100億円)を支払うことで電力4社と合意したと発表した。ドイツは2011年3月の東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて脱原発に動いたが、急な方針変更で損害を受けたとして電力会社による訴訟が相次いでいた。
ドイツの財務、経済、環境の3省が同日、発表した。補償額はエネルギー大手のバッテンファルが14億2500万ユーロ、RWEが8億8000万ユーロなど。ドイツは予定通り2022年末までに脱原発を実現する。
ドイツでは02年にシュレーダー政権が脱原発の方針を決めたが、10年になってメルケル政権が原発の稼働期間の延長を打ち出した。ところが、11年の福島第一原発での事故で方針を再度変更したため、無駄な投資などで電力会社に損害が生じたとされる。
すでに連邦憲法裁判所が補償のための法整備を命じる判決を下しており、支払い自体は既定路線となっていた。ただ、支払いの方法や金額を巡って、政府と電力会社が折り合えていなかった。【日本経済新聞】