東京電力福島第1原発事故で、勝俣恒久元会長ら旧経営陣5人が津波対策を怠ったとして、東電に22兆円を支払うよう求めた株主代表訴訟の口頭弁論が26日、東京地裁(朝倉佳秀裁判長)であった。旧原子力安全・保安院で原発審査に関わった地質学者の岡村行信氏の証人尋問が行われ、事故前に東電社員へ津波対策を促していたと明らかにした。
証言によると、岡村氏は869年に東北地方を襲った貞観津波を調査。判明した津波堆積物の分布結果などを基に2009年、旧保安院の作業部会で福島第1原発などにも津波が到達する可能性を指摘した。
指摘を受けた東電の社員は同年、岡村氏を訪問。福島第1原発の近くで津波堆積物は見つからないと主張したが、岡村氏は「簡単に見つからないが、ないことも証明できない。(津波)対策をした方が良い」と伝えたという。【時事通信】