運転開始から40年を超えた関西電力の原子力発電所の再稼働をめぐる福井県知事の姿勢について、福井県議会から反発の声が上がっています
2月19日の福井県議会。関西電力が運転再開を目指す老朽原発3基について再稼働の議論を始めるよう議会に求めた杉本達治知事に対して批判の声が相次ぎました。
【福井県議会 2月19日】
(県会自民党議員)
「議論に入る前提が満たされたという知事の認識には理解しがたいものがあります。」
(民主・みらい議員)
「今回は知事と県民との約束が反故にされたという強い認識を持たざるをえません。」
そもそも杉本知事は、運転開始から40年を超えた関西電力の高浜1・2号機と美浜3号機の再稼働の議論に入る前提条件として、使用済み核燃料を保管する中間貯蔵施設の候補地を去年末までに福井県以外で示すように関西電力に求めていました。しかし今年2月12日の関西電力側の回答は次のようなものでした。
(関西電力 森本孝社長 2月12日)
「2020年ごろとしていた計画地点の確定につきましては2023年末を最終の期限として取り組んでまいりたいと考えております。」
2023年と、事実上3年の先送り。そして候補地については次のように述べました。
(関西電力 森本孝社長 2月12日)
「むつ中間貯蔵施設の共同利用について検討に着手したい旨をご報告しました。」
確かに青森県むつ市の中間貯蔵施設をめぐっては、去年12月に関西電力など電力各社でつくる電気事業連合会が共同使用を検討する方針を明らかにしました。しかし、当のむつ市は「共用化について認めた事実も議論を開始している事実もありません」「そもそもそのような案は存在すらしておりません」と2度にわたって関西電力の案を否定。不快感を露わにしています。
それにもかかわらず、福井県の杉本知事は次のように述べています。
(福井県 杉本達治知事 2月19日)
「計画地点の提示をこれまで求めてきた。そのことについての関西電力なり国からの一定の回答があったということを私は評価をして今回“前提が満たされた”と。」
そして迎えた2月19日の福井県議会で、最大会派の自民党や第二会派の民主・みらいの県議がそろって知事の姿勢に疑問を突きつけました。
(県会自民党 山岸猛夫議員)
「NOと言っているところ(むつ市)を指定して、それを評価できるのかと。これは評価するに値しない。問題の先送りをしただけではないのかと。」
このような状況でどうして杉本知事は議論を急ぐのでしょうか。実は原発が立地する美浜町と高浜町が地元経済へ追い風となる再稼働にすでに同意しているのです。
(福井県 杉本達治知事)
「一定ものごとが進んだと私は理解しています。議論の入り口に入るということについては進めていいのではないかと。」
杉本知事は、県議会の議論を踏まえて判断を下す考えですが、3月17日までの会期中に結論が出るかは不透明です。【毎日放送】