原子力発電所から出るいわゆる「核のごみ」の最終処分場の選定について、3段階ある調査の第1段階の文献調査が北海道の2つの自治体で17日から始まりました。
原発の使用済み核燃料から出る高レベル放射性廃棄物「核のごみ」について、国は地下深くに埋める方針で、その最終処分場の選定に向けて先月、北海道の寿都町と神恵内村が第1段階の文献調査を受け入れていました。
これについて処分を実施するNUMO=原子力発電環境整備機構は、17日経済産業省から認可を受けて、2つの自治体で文献調査を開始しました。
文献調査に関する認可は、2007年に高知県東洋町でも出されていましたが、当時は調査が行われないまま反対の動きなどを受けて白紙撤回されていて、今回の文献調査が実質、全国で初めてとなるということです。
NUMOは、2年程度かけて地質に関する学会や国の研究機関からの報告書や学術論文などを集めて、付近に活断層や火山がないかなどを調べることにしています。
また、この間地元の人たちと調査の進捗を共有したり、地域振興策を具体化したりするため、「対話の場」を設けるとしていて、NUMOは今後、自治体側と具体的な内容を協議することにしています。
NUMO「地元と接点増やす」
文献調査の開始について、NUMO=原子力発電環境整備機構は、17日夜、オンラインで会見を開きました。
この中で伊藤眞一理事は、「地元との接点を増やしながらこの問題についてきちんと理解いただけるよう誠心誠意、努力していきたい。今後、2つの自治体に対話の拠点を設け、常日頃から忌憚のない意見をもらったり、やりとりを行ったりしていきたいと考えている」と話していました。
また、調査によって風評被害が生まれるのではという懸念については、「調査期間中に、放射性物質を持ち込むことはない。現時点で風評被害が起きた場合の具体的な対処方法はないが、まずは被害が出ないよう、きちんとした広報活動をすることが非常に大事であり、注力していく」と話していました。
このほか、調査では数百点ほどの文献やデータを収集する見通しで、陸地だけでなく、沿岸の海底も対象にして活断層の有無などを調べると説明しました。【NHK】