九州電力は17日午後7時半、テロ対策施設が完成した川内原発1号機(鹿児島県薩摩川内市)を再稼働させた。19日から発電を始め、営業運転の再開は12月中旬を見込む。テロ対策施設が完成して稼働した原発は初めて。国内で稼働中の原発は、九電の玄海原発4号機(佐賀県玄海町)と合わせて2基となった。(原発取材班)
テロ対策施設は「特別重大事故等対処施設」と呼ばれ、意図的な航空機衝突などのテロ攻撃を受けた場合でも、放射性物質が外部に放出しないようにするための設備。テロ対策のため詳細は公表されていないが、九電は原子炉建屋から100メートル以上離れた場所に、遠隔操作で原子炉を冷やすための緊急時制御室や注水ポンプを設置した。川内原発の整備費用は約2420億円。
テロ対策施設は、東京電力福島第一原発事故を受けて原子力規制委員会が策定した「原発の新規制基準」で設置が必要とされた。原発本体の工事計画が認可された後、施設の完成まで5年の猶予が与えられたが、期限に間に合わず、九電は川内1号機を今年3月、2号機を5月に停止した。2号機は工事が終われば、12月下旬に再稼働する見通し。
テロ対策施設の完成遅れで、関西電力高浜3、4号機(福井県高浜町)も停止中。関電は高浜3号機を12月下旬に、4号機を来年1月下旬に再稼働する計画を示している。【東京新聞】