関西電力は18日、高浜原子力発電所1号機(福井県高浜町)、美浜原発3号機(同美浜町)の40年を超える運転に向けた安全対策工事を終えたと発表した。水田仁原子力事業本部長代理が福井県庁を訪れ、同県の野路博之安全環境部長に報告した。野路部長は「1つの節目ではあるが、ただちに再稼働の議論を始められる状況ではない」と応じた。
40年超運転を目指す原発の安全対策工事の終了は全国で初めて。免震事務棟の設置や難燃ケーブルへの切り替えのほか、高浜1号機には原子炉格納容器の上にコンクリート製の屋根を設置した。関電は当初、高浜1号機は2019年8月、美浜3号機は20年1月の終了を計画していた。工事内容の見直しや労働災害で工期を2度延長した。
同社は美浜3号機を21年1月、高浜1号機を同3月に再稼働させる工程を示している。使用前検査を通過すれば、再稼働に向けたハード面の準備は整う。福井県など地元自治体の再稼働への同意が焦点となる。
19年に発覚した関電役員らの金品受領問題を受け、杉本達治知事は会見などで「信頼関係が損なわれている」と繰り返し述べてきた。労働災害が相次いでいるほか、7月には同社子会社の元社長が金品を受領していたと判明している。
報道陣の取材に応じた水田本部長代理は「業務改善計画の状況を説明することで信頼回復につなげたい。説明のため、住民への訪問活動もしている」と話した。20年中に福井県外の候補地を示すとしている使用済み核燃料の中間貯蔵施設については「できるだけ早くやっていく」と述べるにとどめた。【日本経済新聞】