宮城県女川町議会の原発対策特別委員会は19日、東北電力女川原発の再稼働に賛成する陳情4件を採択し、反対する請願2件を不採択にした。特別委は議長以外の全議員11人で構成されているため、町議会は事実上、再稼働に同意する意思を表明した。
女川2号機の再稼働には立地する女川町、石巻市と宮城県の同意が必要で、議会が意思表示をしたのは初めて。同意するか判断する須田善明町長は報道陣に「歴史的経過や原発と共生してきた町の歩みが反映されていると思う。県が結論をどの段階で出すのか、それに応じて我々もやっていく」との考えを示した。
特別委では、市民団体が出した請願と商工会などが出した陳情の計6件が、委員長を除く10人によって順次採決された。再稼働に反対する請願2件は賛成議員が3人のみで不採択になり、再稼働に賛成する陳情4件は賛成が7人を占めて採択された。
採決を前にした討論では、再稼働賛成側の議員からは「町の産業や雇用の維持につながる」と地域経済への効果を期待する意見が目立った。一方で反対側からは、避難計画の実効性や原発の安全性が不十分だとの声があがった。
採決の後、宮元潔委員長は取材に「原発立地町なので(再稼働に向けた)流れを作ろうと早めに判断した。女川は人口が少ないので、経済が活発化するように各委員が判断したと思う」と話した。陳情などは9月議会の本会議で改めて採決され、正式に町議会が意思表示する見通しだ。
村井嘉浩知事は報道陣に、「女川町民の一つの意思の表れだと受け止めている。女川町長が町議会の出した結論をどう受け止めるか注視したい」と話した。【朝日新聞】