関西電力の森本孝社長は産経新聞のインタビューに応じ、運転開始から40年を超える高浜原発1号機(福井県高浜町)や美浜3号機(同県美浜町)の安全対策工事について、「工期ありきではない」と述べ、予定する9月中の工事完了に慎重な姿勢を示した。新型コロナウイルスの感染拡大で工程に遅れが出ているとみられ、再稼働のスケジュールに影響が出かねない状況となった。 森本社長は工事に関わる社員らの感染予防を徹底すると強調し、「各自治体の考えを聞きながら対策を取っていく」と説明。現時点で工期に間に合うと明言することは避け、「工程を急ぐことよりも、やるべきことをやってこそ次のステップになる」と話した。 関電の原発をめぐっては、大飯原発3号機(同県おおい町)の定期検査開始が、県外からの作業員にPCR検査を行うなどしたため当初の5月8日から今月20日にずれ込んだ。高浜や美浜の工事は止まっていないが遅れる可能性が高い。 再稼働には立地自治体の同意が必要だが、役員らの金品受領問題で難航が予想される。森本社長は「信頼回復に全力を挙げて理解を求めたい」と述べ、地元との対話を重視する姿勢だ。 使用済み核燃料の中間貯蔵施設の候補地選定は「従来と申し上げることは変わらない」と述べ、年内を念頭に具体的な計画地点を示す方針を改めて強調した。 一方、新規事業については「持っているインフラを使いこなせるよう考えていきたい」と話し、通信事業に注力するとした。【産経新聞】