関西電力の役員らによる金品受領問題に絡み、同社監査役会が設置した取締役責任調査委員会(委員長・才口千晴弁護士)は8日に調査報告書を公表し、岩根茂樹前社長や八木誠前会長ら5人の善管注意義務違反を認定した。一連の問題で「対応義務を尽くしていなかった」などと指摘、関電側に総額で約13億円の損害を生じさせたと判断した。
残る3人は森詳介前相談役、豊松秀己元副社長、白井良平元常務。監査役会は報告書の内容を踏まえ、損害賠償請求訴訟を提起するかどうかを17日までに判断する。監査役会は調査委設立時に「その判断を最大限尊重する」としており、提訴に踏み切る公算は大きい。
調査委は大きく4点で善管注意義務違反の有無を調べた。1)福井県高浜町の元助役(死去)などからの金品受領、2)元助役側への工事情報提供など、3)東日本大震災後に減額した役員報酬の秘密裏の補填など、4)金品受領問題の公表の一時見送り――だ。
1)と2)では森氏を除く4人、3)では八木氏、岩根氏、森氏の責任を指摘した。その上で本来より高い金額での工事発注や不要な工事発注、問題発覚後の入札指名停止処分といった損害が発生したと認定した。一方、4)では公表見送りを決めた八木氏と岩根氏について「善管注意義務違反となるかは見解が分かれる」との指摘にとどめた。
関電の第三者委員会がまとめた報告書によると、元助役らからの金品受領者は75人、総額は約3億6000万円相当に上った。監査役会は3月、新旧経営陣の法的責任の有無を調べるために調査委を設置した。
調査委は4人の弁護士からなり、才口氏のほか、岡伸浩氏、太田洋氏、木目田裕氏で構成した。【日本経済新聞】