原子力規制委員会の更田豊志委員長は3日の記者会見で、日本原燃の再処理工場(青森県六ケ所村)の稼働に向けた残りの規制手続きについて「常識的に考えてうまく進んでも1年かかる」との見通しを示した。原燃は2021年度上期の完成を目指すが、稼働に向けた手続きは綱渡りが続きそうだ。
再処理工場は全国の原子力発電所で出た使用済み核燃料からプルトニウムなどを取り出して再利用する日本で唯一の施設。規制委は5月に安全審査の事実上の合格証となる審査書案をまとめ、20年夏に正式に合格を出す。
稼働には詳細な設計を盛り込んだ設計・工事計画の認可や使用前に機器を検査する規制手続きに加え、地元自治体の同意が必要になる。原燃は20年秋に設計・工事計画の認可申請を提出する方針だ。
しかし再処理工場の機器は原発より多いうえ認可手続きや検査の前例がない。規制委の更田委員長は「努力しないと数年かかる」とみる。規制手続きを効率的に進めるため、原燃と規制手続きの実務を担う原子力規制庁の双方の努力が必要になるとの認識を示した。【日本経済新聞】