東京電力は福島第二原発全四基の廃炉期間を四十四年とする工程案をまとめた。全体を四段階に区分し、作業を進める。第一段階となる最初の十年間で設備の除染や原子炉建屋内からの核燃料搬出に着手する。二十二日の富岡町議会全員協議会で示した。廃炉に関する全工程は、東電が作成を進めている福島第二原発の廃止措置計画に盛り込む。東電は年内にも廃止措置計画をまとめ、原子力規制委員会に認可を申請する。原子力規制委の認可を受けた後に具体的な廃炉作業に入る。
■年内にも認可申請
廃炉に要する期間は通常の原発で一基当たり約三十年とされている。東電は福島第二原発1~4号機の廃炉を同時に進める上に、過酷事故を起こした福島第一原発の廃炉作業と並行させるため、他の原発より長い期間が必要と判断した。昨年七月に廃炉を決定した際は「四十年を超える期間が必要」としていた。
廃止措置計画について、全国の他の原発では、原子力規制委が安全審査を実施して認可を出すまで一年程度を要している。
廃炉作業の流れは【図】の通り。第一段階は解体工事準備期間(十年)、第二段階は原子炉周辺設備等解体撤去期間(十二年)、第三段階は原子炉本体等解体撤去期間(十一年)、第四段階は建屋等解体撤去期間(十一年)とする。
第一段階で施設の汚染状況を調査し、機器や配管などの除染作業に入る。原子炉建屋内からの核燃料搬出にも着手する。第二段階で原子炉周辺設備の解体・撤去を始める。第三段階で原子炉本体の解体作業を開始し、第四段階で建屋を解体する計画だ。
使用済み核燃料プールにある使用済み核燃料九千五百三十二体は第二段階終了までに取り出し、構内に新設する貯蔵施設の乾式キャスク内に保管する。廃炉終了までに全量を再処理事業者に譲り渡す。未使用の五百四十四体は第二段階終了までに加工事業者に譲り渡すとした。
廃炉に伴い発生する廃棄物は約二百三十四万八千八百九十トンと見積もった。内訳は放射性廃棄物が約五万一千六百九十トン、放射性廃棄物として扱う必要のないものは約八万七千二百トン、汚染の恐れのない解体物は約二百二十一万トンと推計している。
東電の吉田貴彦原子力・立地本部副本部長兼廃止措置準備室長は全員協議会の席上、「小早川(智明)社長が約束している通り、使用済み燃料は廃止措置終了までに県外に全量搬出する。現状ではいつ、どこに搬出するかを示すことができる状況にはない。見通しが立てば廃止措置計画に反映させる」と述べた。
福島第一原発の廃炉は政府と東電が定める工程表「中長期ロードマップ」で、完了目標を原発事故発生から三十~四十年後としている。
【福島民報】