原子力規制委員会の更田豊志委員長は22日の記者会見で、広島高裁が四国電力伊方原子力発電所3号機(愛媛県伊方町)の運転差し止めを決定したことに関連して「(再稼働の)許可は適正だった」と強調した。今後の原子力規制への影響については「直接的な影響があるとは考えていない」と語った。
17日の広島高裁決定は、原発周辺の活断層や原発から約130キロメートル離れた阿蘇山(熊本県)の影響について四国電力の評価が不十分だと指摘。再稼働に必要な許可を出した規制委の判断も「不合理」などと批判していた。
更田委員長は「当事者ではない規制委が司法の判断にコメントすべきではない」としながらも、規制委の判断の正当性を主張した。広島高裁が決定の根拠として触れた国の中央構造線断層帯に関する長期評価は、許可後に出たものの、規制委の技術情報検討会で議論したとして「もとの判断を覆すような事実ではない」と述べた。
広島高裁決定は阿蘇山が大きな噴火をした際の火山灰などの噴出規模が、四国電想定の「約3~5倍にのぼる」と指摘し、想定が過小だと判断したが、更田委員長は「火山に関する知見に照らした想定は適正な評価だ」と反論した。【日本経済新聞】