日本原子力発電東海第二原発(東海村)の再稼働の是非を問う県民投票の実現を目指す市民団体「いばらき原発県民投票の会」は十一日、大井川和彦知事に住民投票条例の制定を直接請求するのに必要な署名集めを、県内各地で本格的に始めた。
この日はひたちなか、笠間、牛久、石岡、土浦各市の五カ所で街頭署名を実施。ひたちなか市の勝田駅前では、会の鵜沢恵一共同代表(60)らが駅利用者らに協力を呼び掛け、一時間ほどで十九筆が集まった。同市は、東海第二の再稼働に当たって事前同意が必要な六市村の一つ。
署名に応じた同市の会社員串田弘史(ひろし)さん(44)は、「東海村の実家で(一九九九年の)臨界事故を経験し、福島の原発事故では友達が避難した。原発は本当に必要なのか、疑問だ」と指摘。水戸市の主婦丹下和子さん(78)も「県民として、ぜひ再稼働に反対の投票をしたい」と力を込めた。
一方、笠間市の高専学生、森天海(あまみ)さん(19)は「再稼働するべきかどうか、まだ考えは定まっていない」としつつ、「投票の機会はあった方がいい」と考えて署名。ひたちなか市の無職の男性(76)は「知事は再稼働について『県民の声を聞いて判断する』と言ってきた。議員だけに任せず、県民自らが意思表示するべきだ」と話した。
知事への請求を成立させるには県内有権者(約二百四十三万人)の2%の署名が必要。会は五万筆以上を集め、六月の県議会定例会での条例案上程につなげたい考えだ。署名期間は三月六日までだが、選挙がある場合は中断される。
街頭署名は十二日も、桜川市の「真壁さわやか直売所」で午前九時半から、古河市の古河駅前で午前十一時から、水戸市の水戸駅前で午後四時から行う。ひたちなか市では、成人式の会場周辺でも予定している。
【東京新聞】