東京電力福島第一原発の事故による避難指示が、福島県富岡町のJR夜ノ森駅周辺で来年3月10日に解除されることが決まりました。放射線量が比較的高く今も立ち入りが制限されている帰還困難区域で避難指示の解除が決まったのは、これが初めてです。
富岡町の避難指示の解除は20日、国の原子力災害現地対策本部長を務める松本経済産業副大臣、福島県の鈴木正晃副知事、富岡町の宮本皓一町長などが会談して決まりました。
対象の地域は、帰還困難区域に指定されたJR常磐線の夜ノ森駅の駅舎と駅前の広場周辺の1.1キロの道路で、来年3月10日の午前6時に解除されます。
放射線量が比較的高く今も立ち入りが制限されている帰還困難区域は、福島県全体で337平方キロメートルが指定されていますが、避難指示の解除が決まったのはこれが初めてです。
夜ノ森駅の周辺には名所の桜並木があり、富岡町の宮本町長は「避難指示を解除して駅の利用が始まれば、町を訪れる人が増えると期待している」と述べました。
帰還困難区域の避難指示は、双葉町の双葉駅周辺で3月4日に、大熊町の大野駅周辺で3月5日に解除する方向で国や地元の自治体が調整を進めています。
これを受けてJR常磐線は、3月14日に全線で運転を再開する見込みです。
このほか来年3月には、双葉町の北東部の「避難指示解除準備区域」で避難指示が解除され、常磐自動車道の常磐双葉インターチェンジが開通する予定となっていて、震災と原発事故から9年で原発周辺の地域の環境が大きく変化することになります。【NHK】