九州電力は3日、テロ対策施設の建設遅れを理由に、川内原子力発電所(鹿児島県薩摩川内市)1、2号機を2020年3月以降にいったん停止し、12月から順次、再稼働する計画を発表した。同施設の完成遅れによる運転停止は全国で初めて。これまで停止期間を約1年としていたが、工事のやり方を工夫して8~9カ月に短縮、コスト増を抑える。
原発はテロ対策の「特定重大事故等対処施設」の設置が義務付けられている。大手電力では建設が遅れ気味だったが、原子力規制委員会が各原発で定められた完成期限に間に合わない場合は運転停止を命じる方針を19年4月に決めたため、対応を迫られていた。
1号機は20年11月を予定していた定期検査を前倒し、20年3月16日~12月26日の約9カ月間止める。2号機は21年4月下旬からの予定だった定期検査を含め、20年5月20日~21年1月26日までの約8カ月間、停止する。
同社は停止に伴う業績への影響について、火力発電で代替するため1カ月当たり原発1基で40億円のコスト増要因になるとしていた。ただ、今年12月に発電効率が高い石炭火力施設の松浦発電所2号機(長崎県松浦市)が営業運転を始めるため「精査中だがコストの増加幅は減る方向とみている」(同社)という。【日本経済新聞】