関西電力の幹部らに原発がある福井県高浜町の元助役が多額の金品を渡していた問題に関して、原子力規制委員会の更田豊志委員長は2日、定例会見の中で「福島の原発事故のあと、規制当局や電力事業者を問わずに原子力の信頼回復に向けて努力している中で、今なお、このようなことが起きているのは情けない」と述べ、関西電力の姿勢を批判しました。
また「現場の人の士気に関わらないかが心配だ。現場の人にはこういう時だからこそ頑張って安全確保にあたって頂きたい」と述べました。
そのうえで、今回の問題は原子力施設の安全規制の法律に関わる案件ではないと断ったうえで、実態の把握についてヒアリングなどの必要があるかどうか、委員の間で一度検討をして決めたいという考えを示しました。
専門家「問題を矮小化」
関西電力が2日改めて開いた記者会見について電力会社の経営に詳しい、龍谷大学の大島堅一教授は「今回の問題の背景について、森山氏の特異なキャラクターや個人の判断の誤りだとして説明していたが、実際には森山氏の対応について引き継ぎがあったことなどからも、会社全体で組織的に行っていたのは明らかだ。問題の本質を説明したとはいえず、矮小化しているように感じた」と話しています。
そのうえで、「原子力事業を円滑に運営するために地元の有力者の圧力に屈していたことが明らかになった。本当の意味で、『地元の合意』を得ていたのか疑問が残る。八木会長も、答えづらい質問には同じ発言を繰り返すなど、原発という安全への注意が最も必要とされる公益事業の経営者として失格だと感じた」と指摘しています。【NHK】