東北電力の女川原子力発電所2号機(宮城県)が、年内にも再稼働に向けた審査に合格する見通しとなった。27日の原子力規制委員会の会合で、審査の議論がほぼ終わった。合格すれば、2011年の東日本大震災で被災した原発では2基目、東北電の原発では初めてとなる。ただ、再稼働には地元自治体の同意や安全対策工事の完了が必要で、20年度以降になる見通しだ。
審査の議論が終わったことを受けて、規制委は事実上の合格証となる「審査書案」のとりまとめに入る。審査書案がまとまれば、パブリックコメントなどを経て合格が正式に決まる。今後、数カ月かかる見通しだ。
大震災後、東京電力福島第1原発事故の反省を踏まえて規制委が作った新規制基準に合格した原発は再稼働が認められている。女川2号機が合格すれば、18年9月の日本原子力発電東海第2原発(茨城県)以来となる。全国では16基目で、事故を起こした福島第1原発と同型の「沸騰水型」としては柏崎刈羽6、7号機、東海第2に続いて3例目となる。
震災時、原発の中でもっとも震源に近い女川原発には東海第2の5.4メートルを大きく上回る最大13メートルの津波が押し寄せた。敷地の高さが14.8メートルだったことが幸いした。福島第1のような電源喪失に至らず、原子炉の冷却を続けることができた。
1~3号機のうち、東北電は老朽化していた1号機の廃炉を決めて、2、3号機の再稼働を目指している。2号機の安全対策工事に約3400億円を投じる。工事は20年度の完了を予定している。
再稼働には立地する宮城県や女川町などの同意を得る必要がある。再稼働すれば東北電として年間350億円の燃料費が削減できるという。【日本経済新聞】