東京電力福島第一原発の放射性物質を含む処理水を巡り、松井一郎大阪市長と吉村洋文大阪府知事は十七日、科学的に環境被害がないという国の確認などを条件に、大阪湾で放出する可能性に相次いで言及した。松井氏は「全く環境被害がないものは国全体で処理すべきだ。持ってきてもらって流すのであれば(放出は)ある」と市役所で記者団に語った。
処理水の受け入れについては、橋下徹元大阪市長がツイッターやテレビ番組で取りあげ「(国が海洋放出を認める)方針が決まれば、吉村知事は大阪湾に放出するだろう」と指摘していた。
松井氏は「科学者を入れた専門家の検証委員会をつくってほしい。ここで自然界のレベル以下だということを科学的根拠をもって示してほしい」と要請。影響がないと確認できれば、周辺自治体の理解は必ずしも必要ないとの認識も示した。
吉村氏は記者会見で「見て見ぬふりをしてはいけない。国に協力してと言われれば協力する」と語った。
小泉進次郎環境相が海洋放出に慎重だとし「(被災地に)寄り添えば批判は受けないが嫌われてでもやるべきだ。小泉さんの地元横須賀(神奈川県)にも放出するくらいの気持ちでやってほしい」と述べた。
両氏の発言に関し小泉環境相は福島県いわき市で取材に応じ、処理水の処分方法が政府小委員会で検討されている点に触れ「議論されているまっただ中で、軽々に所管外の者が発言して漁業者など関係者を傷つけることがあってはならない」と述べるにとどめた。【東京新聞】