原子力規制委員会の田中俊一・前委員長は18日に福島市内であった講演で、東京電力福島第一原発事故の除染作業で出た汚染土について、「自分たちのところが嫌なものを、他の県に持って行く。実際にそんなことができるのか」と述べた。
田中氏は講演で、保管先の福島県大熊、双葉両町の中間貯蔵施設から30年以内に県外で最終処分するという政府方針を説明したうえで、「(福島県が)自ら解決、克服していかないといけない」と強調。委員長を退任後、自身が県内で取り組んでいる汚染土の再生利用の必要性を訴えた。
汚染土は2015年、中間貯蔵施設への試験搬入が始まった。21年度までに1400万立方メートル(東京ドーム11個分)を搬入する計画で、法律上、45年3月にはすべての汚染土を県外に持ち出すことになっている。
貯蔵施設を所管する小泉進次郎・環境相が12日、就任後初めて福島県を訪れた際に、内堀雅雄知事に「『30年』、この約束を守れるように全力を尽くします」と話している。【朝日新聞】