東京電力福島第一原発の1、2号機の共用排気筒(高さ120メートル、直径3・2メートル)の解体で、最初の作業となる頭頂部(長さ約2メートル、約4トン)の切断が1日、ようやく終わった。解体作業は8月1日に開始。頭頂部の切断は8月2日の1日間のみで終える予定だったが、装置のトラブルなどが相次ぎ、約1カ月かかった。
解体装置の4枚の回転刃の摩耗が想定より早く、すり減ったり、止まったりして、作業は計5回中断した。熱中症になった作業員もいた。8月31日夜には、装置を動かす電源の燃料が切れたが、作業が最終盤のために装置を地上に下ろせず、1日朝に作業員3人がゴンドラで頭頂部に行き、燃料の補給や点検を行う異常事態にもなった。
東電は「初めての作業で、慎重に進めたこともあり、想定より時間を要した。今回の知見を今後の作業に生かしたい」としている。このペースだと2年ほどかかるが、東電は「予備日などに作業をすることで今年度内の完了を目指したい」とし、計画に変更はないとしている。
ログイン前の続き排気筒は事故時の「ベント(排気)」で放射性物質を含む水蒸気が放出された設備。事故時に損傷し、将来倒壊する恐れがあるため、排気筒の上半分を23回の作業に分けて、高さ約60メートルまで解体する。現場の放射線量は高く、大型クレーンでつり上げた解体装置を遠隔で動かして作業を進めている。半年ほどかけ、今年度中に完了する計画だ。【朝日新聞】