原子力規制委員会の検討チームは7日、「未知の活断層」への対策強化を全国の原子力発電所に求める報告書をまとめた。電力業界からは再評価に最大1年、工事が必要な場合は最大7年超の時間が必要になるとの声が出ている。規制委がどの程度の猶予期間を設けて、電力会社に対応を促すかが今後の焦点となる。
原発の規制では「原発周辺に存在する活断層による地震」と「未知の活断層による地震」の2つに対する耐震性を求めている。今回、規制委は後者について新たな評価方法に基づいて対策を取るよう求める見通しだ。従来より多くの地震データを使い、未知の活断層への備えを強化するためだ。
全国の原発で耐震性の再評価が必要になるが、影響を最も受けそうなのが九州電力の玄海原発(佐賀県)と川内原発(鹿児島県)だ。多くの原発は近くにある大きな活断層が動いて地震が起きた場合の強い揺れを想定した耐震性を備えている。これに対し、九電の2原発は周辺に大きな活断層がないため、未知の活断層を想定した揺れへの耐震性が基準になっている。再評価の結果が現在の想定を上回った場合、追加工事などを迫られる懸念もある。このため、電力会社は十分な猶予期間の設定を求めている。
原発の追加規制を巡っては、テロ対策施設の設置で関西電力、九州電力、中国電力の5原発10基が期限に間に合わない見通しとなっている。最も期限が近い川内原発1号機は2020年3月に停止する予定だ。【日本経済新聞】