政府と東京電力が、福島第一原発で溶融核燃料(デブリ)の取り出しを2号機から始め、原発敷地内に一時保管する方向で検討していることが五日、関係者への取材で分かった。安全性を高めるため、乾燥させた状態で金属容器に封入する「乾式」を採用する。デブリ保管の具体的な方針が明らかになるのは初めて。
第一原発廃炉での技術的な助言を担う原子力損害賠償・廃炉等支援機構が八日に取りまとめる二〇一九年版「廃炉戦略プラン」の要旨に盛り込む。政府と東電はこのプランを踏まえ、廃炉に向けた「中長期ロードマップ」(工程表)を本年度中に改定する。
現行の工程表では二一年に取り出しを始める。関係者によると、2号機ではロボットアームを使い、デブリをつかんだり吸引したりして小規模で実施。デブリは小型の容器に入れた後、さらに別の容器に収納する。保管設備は第一原発内に造る。
プールなどで保管する「湿式」も検討したが、「乾式」はデブリに含まれている水分による容器の腐食や、放射線分解による水素の発生を抑制することができ、長期保管に適していると判断した。再び核分裂を始める「再臨界」を防ぐために小型容器を使い、配置方法なども配慮する。
炉心溶融(メルトダウン)した1~3号機のうち、2号機では原子炉格納容器内の調査でデブリとみられる堆積物に接触でき、状況把握が進んでいる。作業現場の放射線量も比較的低い。
デブリ取り出しは三十~四十年かかるとされる第一原発の廃炉で最難関となる。デブリの最終的な処分方法は今後検討する。
戦略プランの検討に携わる専門家は「現時点で予定している小規模な取り出しであれば、原発の燃料保管などに用いられる既存技術の活用で十分安全性を確保できる」としている。【東京新聞】