関西電力が再稼働を目指している美浜原発3号機(美浜町)について、テロ攻撃などに備えた「特定重大事故等対処施設」(特重施設)の建設が遅れた場合でも、安全対策工事が完了する二〇年七月から特重施設設置期限の二一年十月までは、地元同意を前提に運転が可能だという認識を美浜町議会側に説明したことが、同社などへの取材で分かった。
特重施設を巡っては、原子力規制委員会が四月、期限内の施設完成が間に合わない原発に対して、運転停止を命じる方針を決定。関電が四十年超運転を目指す美浜3号機や高浜原発1、2号機は現時点でいずれも完成が遅れる見通しで、予定通り二〇年以降に再稼働しても早期に期限を迎えることから、再稼働に向けた先行きが不透明になっている。
美浜町議会は今月三日、関電担当者を招き、美浜原発などに関する議員説明会を非公開で開催。関電側は特重施設の設置期限までは運転が可能だという認識を説明した。特重施設の早期完成も目指すとした。
これに対し、市民団体「原発問題住民運動県連絡会」は十二日、県庁を訪れて県に美浜3号機の再稼働に同意しないよう要請。「特重施設のテロ対策が間に合わないにも関わらず再稼働するのは規制委に対する違反にあたる」などとして、関電を批判した。
関電は取材に「美浜3号機の再稼働時期は現時点で未定。立地地域の皆さんのご理解を得て進めていく」と説明した。
高浜原発では、工事完了予定から特重施設の完成期限まで1号機で一年一カ月、2号機で五カ月と短い。再稼働済みの高浜3、4号機と大飯原発3、4号機(おおい町)もそれぞれ二〇年八月~二二年八月に期限を迎える。【中日新聞】