東京電力福島第1原子力発電所事故の健康への影響を調べる福島県の県民健康調査検討委員会の評価部会は3日、事故当時18歳以下だった県内の全ての子供を対象に2014、15年度に実施した2巡目の甲状腺検査の結果について「現時点では甲状腺がんと被曝(ひばく)との関連は認められない」とする中間報告を公表した。
部会は、国連放射線影響科学委員会(UNSCEAR)が県内59市町村ごとに推計した甲状腺被曝線量を基に、甲状腺がんと診断された子供の年齢や市町村と照らし合わせて分析。推計被曝線量が高くなるとがん発見率が上がるといった相関関係が見られなかった。
約38万人を対象とした2巡目の検査では52人のがんが確定し、19人に疑いがあった。
基礎データ収集を目的に事故の半年後から13年度まで行われた1巡目の検査と違い、事故後3~5年目に実施した2巡目は「本格検査」と位置付けている。
部会長の鈴木元・国際医療福祉大クリニック院長は記者会見で「(2巡目の)データだけで、未来永劫(えいごう)、放射線の影響がないと結論付けるものではない」として、検査継続の必要性を強調した。【共同通信】