降灰10センチ以上、停止は求めず
原子力規制委員会は4月17日の定例会合で、国内で大規模噴火が起きた場合に、福井県内の関西電力の美浜、大飯、高浜3原発に降ると想定している火山灰の厚さ10センチを引き上げることを決めた。既に終了した3原発の再稼働審査で規制委が妥当とした降灰の厚さの変更で、審査の一部やり直しとなり、異例の対応。規制委は大規模噴火の緊急性はないとして、再稼働済みの大飯3、4号機と高浜3、4号機の停止は求めないことを決めている。
降灰の想定は、3原発から約200キロメートル離れた大山(鳥取県)が大規模噴火した場合をシミュレーションするなどして算出したが、火山灰に関する新たな論文発表があり、降灰の厚さ見直しが必要になった。関電は規制委の影響評価の見直し指示に従い、降灰が従来の2倍超となる報告書を提出していた。実際に降灰の数値をどの程度増やすかは今後議論する。
原発に想定超の火山灰が降ると、重要設備である非常用発電機の吸気フィルターの目詰まりなどが懸念される。関電は、降灰の厚さが引き上げられても「現状の施設や設備は耐えられるよう設計しているため安全性に問題はない」としている。
規制委は既に終了した3原発の審査で、関電が算出した降灰の厚さ10センチを妥当として合格の判断を出した。その後、大山からの距離がほぼ同じ京都市で、約8万年前の地層に30センチの火山灰層があるとする新たな研究論文が発表され、規制委は現地調査の結果、影響評価の見直しを指示した。
複数の委員から「大山は活火山ではなく、原発の運転中に噴火する可能性は低い。降雪による建物への荷重を見込んでおり、建物の許可をただちに見直すものではない」などの意見が出された。
関電は3月、降灰の想定を高浜21・9センチ、大飯19・3センチ、美浜13・5センチとする報告書を規制委に提出した。【福井新聞】