東京電力福島第一原発があり、原発事故で全町避難が続く福島県大熊町の避難指示について、政府は10日午前0時、放射線量の高い帰還困難区域を除いた地域の避難指示を解除した。事故から8年が経つが、第一原発立地自治体の避難指示解除は初めて。
解除対象は町西側の大川原地区(居住制限区域)と中屋敷地区(避難指示解除準備区域)。町面積の約4割で、町民の約4%、138世帯367人(3月末現在)が住民登録している。
大川原地区には新しい町役場が建設され、14日に開庁式がある。役場近くで店舗や宿泊施設、災害公営住宅50戸の建設も進む。同地区には2016年夏から東電の社員寮が特例として設けられ、約700人が暮らす。町は解除後、帰還住民約500人と、すでに居住する東電社員らを合わせ、新住民約900人が同地区で暮らす将来像を描く。
現在も町民約1万人が避難しているが、町内の居住地域の多くは今回の解除対象ではなく、大半の人々の避難生活は続くことになる。帰還困難区域となっている町中心部は特定復興再生拠点として除染や整備を進めており、22年春の避難指示解除を目指す。
10日の解除で、福島県の11市町村に出された避難指示が全域で残るのは、第一原発がある双葉町のみとなった。双葉町は20年春ごろに町内の一部で、22年春ごろに特定復興再生拠点で、避難指示の解除を計画している。【朝日新聞】