関西電力大飯原子力発電所3、4号機(福井県おおい町)の運転差し止めを京都府の住民が求めた仮処分申請で、大阪地裁(北川清裁判長)は28日、「生命、身体に直接的かつ重大な被害が生じる具体的な危険があるとは言えない」として、住民側の申し立てを却下した。
2018年2月から計4回開かれた審尋で、住民側は関電が作成した耐震設計の目安となる地震の揺れ(基準地震動)が合理性に欠けるとし、原子炉等規制法が求める安全性を確保できていないなどと主張していた。
北川裁判長は、断層の長さや幅といった様々なデータについて保守的に評価し、複数のケースを想定していることなどを挙げ、「基準地震動の策定方法が適切でなかったとまでは言えない」と指摘した。
大飯原発3、4号機を巡っては、定期検査で運転停止中だった14年5月、福井地裁が安全性の欠陥を指摘して稼働を認めない判決を言い渡し、関電側が控訴。名古屋高裁金沢支部が18年7月、同判決を取り消し、運転を容認した。
これに先立ち3、4号機は17年5月に原子力規制委員会の安全審査に合格し、関電は18年3月以降、順次運転を再開した。【日本経済新聞】