東京電力福島第一原発事故の賠償にかかる巨額の費用を、大手電力以外の電気料金に上乗せする国の方針はおかしい――。九州や中国地方などの生協でつくる新電力「グリーン・市民電力」(事務局・福岡市)が世耕弘成・経済産業相にこんな陳情書を出し、7日、発表した。
原発事故の賠償は、沖縄電力を除く大手電力9社などの原子力事業者が資金を出している。その元手の一部は、大手電力の電気料金だ。
だが2016年4月の電力小売り全面自由化で新電力が参入し、大手電力と契約しない消費者もいる。契約先により負担が異なるのを避けようと、20年度以降、新電力も含む電気料金に40年で計約2・4兆円(標準家庭で月18円)の費用が上乗せされる予定だ。経産省は「多くの人が過去に原発の電気を享受してきたから」とする。
一方、グリーン・市民電力は「東電やその株主などがまず責任を果たすべきだ」と主張。「国民負担にするとしても、広くみんなが納得してからにすべきだ」とする。将来的には訴訟など法的手段も検討するという。【朝日新聞】