福島第一原発2号機の原子炉格納容器底部の様子。小石状の堆積物が見える。昨年1月に撮影した画像を鮮明化した(国際廃炉研究開発機構提供)
東京電力は28日、福島第一原子力発電所2号機の原子炉直下の様子を鮮明化した映像を公開した。昨年1月にカメラを遠隔操作して撮影した映像をパノラマ写真のように合成し、原子炉直下の全体像を把握できるようにした。2号機では溶けた核燃料と構造物が混ざって固まった「核燃料デブリ(残骸)」の少量採取が2019年度後半に予定されており、東電は「鮮明化した映像を有効活用したい」としている。
東電は昨年1月の調査で、カメラが付いた伸縮式のパイプを2号機の原子炉格納容器内に投入。デブリらしき堆積たいせき物が、容器底部に広がる様子を確認した。
この日公開された映像は、様々な角度から撮影された当時の調査映像を組み合わせて、一本に合成・加工したもの。映像にはデブリらしき小石状の堆積物に冷却水が降り注ぐ様子や、制御棒を出し入れする制御棒駆動装置などの炉内構造物が鮮明に映っていた。
一方、東電はこの日、今年2月13日に測定した、2号機の原子炉直下の放射線量と温度を公表した。昨年1月の調査時と大きな変化はなく、炉心直下の線量は毎時6・4~7・6シーベルトで底に近づくほど高い傾向だった。温度は約23度だった。【読売新聞】