東京電力福島第1原発事故に伴う避難指示の解除などを経て、2018年度に地元で授業を再開した福島県内5町村の小中学校の児童生徒数が、19年度当初は計109人にとどまる見通しとなっていることが分かった。18年12月1日現在の140人から約2割減る見込み。1校は通学予定者がおらず、現状では再開から1年で休校となる方向だ。
5町村の各教委によると、児童生徒数は表の通り。新年度見込みは、小学校3校と中学校1校が同じ校舎を利用する飯舘村が計61人で最も多い。ただ現状との比較で16人減る。
休校となる可能性が高いのは川俣町山木屋小。現在の5人は全て6年生。卒業後は地区外の中学校に通う予定で、新たな入学予定者もいない。町教委の担当者は「2月にも休校を決める方向だが、ぎりぎりまで入学希望者を待ちたい」と説明する。
浪江町は18年度、町内での授業再開に合わせて「なみえ創成小・中学校」を新設した。19年度当初は現在の10人から12人に増える見通し。
ただ、避難先の二本松市で授業を続けてきた既存の小中3校のうち、在籍生徒がいなくなる浪江中は18年度いっぱいの休校が決まっている。請戸小など「臨時休業」としてきた小中6校も休校とする。
いずれの自治体も特色ある教育を打ち出すなど、児童生徒の確保に懸命だ。葛尾村の小野田敏之教育長は「あいさつや発表を任せる機会が多く、自己肯定感や責任感を養える」と少人数教育の利点を強調する。
浪江町は制服支給や子育て世帯への家賃補助といった支援制度を創設した。畠山熙一郎教育長は「避難先で落ち着いた家族にとって帰町の判断は難しいが、町にとって学校の復興は不可欠。家族が安心して戻れるよう、地道に環境を整えていくしかない」と言う。
富岡町富岡一中の中潟宏昭校長は「今後10年間は休校の心配はないが、児童生徒の急減は(原発事故で被災した)双葉郡全体の問題だ」と語り、関係自治体が連携して対策に当たる必要性を指摘する。
内堀雅雄知事は昨年12月25日の記者会見で「広域自治体として地元に子どもの声が戻るよう、努力を続けていく」と述べた。【河北新報】